三十三観音を描いていく ⑦
三十三観音作成第7弾。19~21番目。
⑲ 能静観音
海辺の岩盤に坐し両手を盤石に置いて瞑想する姿で表現されるほうが有名ですが
盤石を卓上テーブルのようにするには違和感がハンパないので
今回は、L字型盤石に持たれかかるような立ち姿にしました。
能静とは、波浪を能く*2静かにするという意味。
(海上の荒波だけではなく、日々の生活や心中の荒波も鎮めてくださるそうです)
ご利益:海難守護・防風雨沈静化・危難守護・家庭円満
立体像は少なく、絵図くらいでしか見かけないと思います。
⑳ 阿耨観音
岩盤の上に、左膝を立てて坐し、両手を交差させた姿で表現されます。
遠くの海を眺め、大海の荒波も澄んだ池のように沈静化すると云われています。
難を逃れ、波にも没しない。とされています。
阿耨は、サンスクリット語のアノクダッチ(阿耨達池)が語源で
八功徳水*4で満たされた清涼の池という意味だそうです。
ご利益:海難守護・欲念消失
手を交差させて置くポーズを含め、ご利益が、19番の能静観音と似てるので
もしかすると、阿耨と能静は同体なのかもしれませんね。謎
こちらの観音様も立体像はほとんど無く、絵図くらいでしか見かけないと思います。
㉑ 阿摩提観音
阿摩提観音には
前述の20番 阿耨観音とそっくりなポーズをしたニ臂のノーマルタイプ?のほかに
三眼四臂という異形系もあり、こちらのほうが有名かも知れません。
左足を曲げた遊戯座*9で白獅子に乗り、真手*10左手に箜篌を持ち
第二手の右手に白い吉祥鳥、左手に摩竭魚を乗せた奇抜な形態をしています。
獅子に乗っているから文殊菩薩と繋がりがあるのかな?と思いきや
毘沙門天の観音形なのだそうです。
ご利益:一切の恐れと不安の克服・道を切り開く
阿摩提観音は、異形系のほうが有名とは唄ったものの
持物が特異すぎる面もあり、日本国内での実像ではほとんど見かけないと思います。
- 白獅子となっていますが、正確には獅子というよりホワイトライオンという感じで
中国で獅子形態に変化したようです。 - 箜篌は形状がハープに似た楽器で、現在でも稀に演奏されることがありますが
観音が持っている鳳凰の頭があしらわれたものとは随分形が異なるようです。 - 吉祥鳥とは、鳳凰や八咫烏など伝説上の架空の鳥のほか
鶴やフクロウなど実際にいる鳥を指す場合もあります。
(阿摩提観音が持つ吉祥鳥は何の鳥をモデルにしてるのかは不明です^^;) - 摩竭魚は架空の怪魚で、象のような鼻を持っていたり、ヒレではなく翼や足だったり
10個以上の頭を持っていたりなど形容もさまざまあるようです。
また人を丸呑みどころか船そのものを飲み込むほどの巨大魚とも云われています。
日本寺院では稀にですが、欄間彫りなどに摩竭魚が施されている場合があり
翼の生えた胴の短い龍のような見た目をしています。
ここで描いたような、鯱*11と形状が類似したものもありますが
摩竭魚と鯱は全くの別物とのことです。