筋骨隆々の仏像といえば、真っ先に浮かぶのが仁王像でしょう!
寺院の入り口の門に安置されてるので見かける機会も多いとおもいます。
ある意味、お地蔵さんの次に知名度が高い像かと。
仁王
門の左右に配され、寺院内に仏敵が入り込むことを防ぐ門番的役割をしている。
末尾に天という文字がついていませんが、位でいうと天部に位置します。
通常は、向かって右に口を開けた阿形*3、左に口を閉じた吽形*4が配置される。
裸足、憤怒相で上半身裸の袴姿。天衣*5を纏い、手には金剛杵*6を持つ。
若干の差異はあれ、大抵はこのようなポージングで造形されています。
範〇勇次郎を彷彿とさせるようなエグい筋肉w
人体の筋肉構造について疎いので、よくわかりませんが
特に胸下あたりなどはボコボコ隆起していて気持ち悪くも見えますね^^;
一見、丸坊主頭に見えますが、後頭部で頭髪を束ねています。
(口髭がある像も多いそうですが、吹き晒しでの劣化が著しいので確認できないものがほとんどです)
実像は、像高2m以上あるものが多く(8m以上のもある)、かなりの迫力があります。
阿形
阿形単体を、正式には那羅延金剛*7というそうです。
細かな彩色はわかりませんが、肌は赤色とされています。
口を開け、左手に金剛杵を持ち、右手は開いている。
開いた口は「はじまりを表す阿(あ)」を発音するときの形であり
それと連動させるように手も開いてる。
吽形
吽形単体は、正式には密迹金剛*8というそうです。
肌は緑または青色(稀に阿吽ともに赤色の場合もある)。
口を閉じ、左手は握りこぶしで、右手に金剛杵を持つ。
(ただし、吽形に関しては、右手は開いた持物無しのパターンもあります)
閉じた口は「終わりを表す吽(うん)」を発音したときの形であり
それと連動させるように手を閉じている。
左足の親指は浮いている。(理由は不明^^;)
ご利益
門番としての認知度が高い仁王像ですが
意外に知られていないのが「身体の健康・健脚」のご利益です。
上半身裸でどっしりと立つ姿から、特に健脚のご利益があると云われ
仁王門には、大きな草鞋が飾られてる場合もあります。
足を患っている方はもちろん、マラソンや駅伝選手など
あとシューズメーカーからも信仰されることがあるようです。
左右逆配置のパターン
基本的には向かって右が阿形・左が吽形なのですが
阿形
逆配置なので、左手は開き、右手に金剛杵を持つ。
かなり大振りな金剛杵で、布?(皮かも?)を巻きつけてあるような細工がされてます。
(仁王像でしか見たことのない形状なので、仁王専用の金剛杵かもですね)
吽形
左手に金剛杵を持ち
右手は、親指と人差し指で輪をつくり、来迎印*10のような形になっています。
吽形の決まりなのか不明ですが、右足の親指は浮いている。
執金剛神
門番として常に二神一対の仁王。
阿形は那羅延金剛、吽形は密迹金剛という別名があるので
双子?もしくは兄弟神かな?と誤解されそうですよね。
ポーズこそ違えど、見た目はそっくり!
それもそのはずで、そもそもは1体の神だったそうです。
日本では中国経由で甲冑姿の神将 執金剛神として伝わり
のちに、半裸で力士姿の門番 仁王(二神一対)として広まったそうです。
表情は、仁王の阿形と同じく口を開けた憤怒相。
髪の毛はこちらのほうが圧倒的に多いですね!
(実像は、髭と眉毛もあるのですが、なんだか微妙になるので割愛しました^^;)
右手に持ち手を布?で巻いた金剛杵を持っています。
(金剛杵自体も、派手に色分けされてましたが私的に気に入らなかったので金一色としました)
鎧は、四天王のそれとほぼ同じ形状ですが、肩獅噛*13ではないようです。
四天王やほかの神将と大きく違うのは、天衣が異常に長いということ。
ちなみに。。。彩色再現された像よりも、わざと控えめに独自配色してます。
金箔や彩色が表面に残存している箇所も多く見られる貴重な像とのことで
近年、極彩色に再現された像(レプリカ)を拝見したことがありますが。。。
超ド派手で模様もゴチャゴチャ色分けされてたのでかなり違和感がありました^^;
なんつんだろ。。。わびさびの欠片も感じないというか
現代日本人では受け付けれない。。。これは言いすぎか。
少なくとも私自身は、けばいだけで全く魅力を感じない像になっていました。汗
金剛杵について
金剛杵の一般的形状は
左から2つめまでは独鈷杵ですね。
中央のは、金錍*18といわれる金剛杵だそうです。
右の2つも金剛杵らしいのですが、どちらかというと宝棒*19に見えるんだけどなぁ^^;
その他(考察etc)
執金剛神は阿形面をしていますが
金剛杵を持っていない左手は、吽形のように握っているので
阿吽両方の特徴をもっているのかも?と思いました。
あと、甲冑に長々とした天衣ってのは戦闘面では非常に邪魔になるんじゃ?とも。。。
足元なんぞ踏んづけて転びそうに思うのやが^^;
いずれにせよ。多くの寺院でみかける大きな仁王像と違い
作例も少なく、なおかつ秘仏扱いだったため、認知度はかなり低いでしょうね。
執金剛神も仁王も、いわゆる金剛力士であり、その名の通り金剛杵を持っています。
インドではヴァジュラパーニと呼ばれ
金剛杵を持ち、ヘラクレス同様半裸で表現されていたものが
中国・日本で甲冑装備の武神へと変化したそうです。
話がややこしくなるのですが。。。
門番とはいえ、なぜ2神になった(別の神とのペアにしなかったのか)が不明ですが
容姿だけでいえば仁王になって原点回帰したという感じですね。
互いの息がピッタリ合っていることを「阿吽の呼吸」といいますよね。
仁王ってもともとは一体だったので、そらそうだわなwと思いました^^;
うまく説明できないのですが、同時に二体存在するので
観音変化*20とはまた違う能力だと思います。
ちなみに。。。
門番として配置されることが多い仁王ですが、堂内に祀られることもあります。
門にいる場合は上半身裸ですが、堂内では鎧を纏っている場合もあります。
ってか、外の門番は裸で、堂内は着こんでるって。。。
「かわいそうじゃね?逆じゃね?」と思ったりもwww
鎧装備の場合は髪型や持物など
見た目がかなり変わることが多いので、仁王だとは気づかないことが多いです^^;
仁王が配置された門を仁王門と呼びますが
入口門が何ケ所もある場合、各門に仁王が配されることがあるため
東門・南門・西門・北門や正門・山門などで表されることのほうが多いです。
これを書くまで、意識したことなかったのだけど
何事にも動じない堂々とした立ち姿のことを「仁王立ち」といいますが
立ちはだかって邪魔された場合や、怒ってる、あるいは威張った立ち姿など
動じないどころかイライラしてる姿が目に浮かびますw
いわゆる脅し系でも「仁王立ち」と使うので、あまりいい言葉でないのかも。
入口に対し、向かって右が阿形、左が吽形。
何故そういう配置にしてるのかは、古くは巻物など日本の縦書き文化によるもので
横書きとは違い、縦書きは右から左に読むことからきており
はじまりである阿(右) から 終わりの吽(左) という流れになってます。
東大寺のように、逆配置の場合もありますが何故逆なのかが不明です。
阿形の天衣が腰に接していないのは、はじまりの阿
口を開けて発音する「あ」、開いた手ということから
天衣もそれとシンクロさせたのかも?
まぁね明確な決まりが無いって言われればそれまでなんだけど。。。
なんつったらいいんだろ。。。
漫才コンビでもボケとツッコミの立ち位置ってのがありますやん?
見慣れたコンビの立ち位置が逆になったら気持ちわるいですやん??ww
気分てきにはそんな感じがしますwww
*1:【におう】
*2:【こんごうりきし】
*3:【あぎょう】
*4:【うんぎょう】
*5:【てんね】
*6:【こんごうしょ】ダイヤモンドよりも硬いといわれる武器
*7:【ならえんこんごう】
*8:【みっしゃくこんごう】
*9:【ようらく】首飾り、胸飾り
*10:【らいごういん】阿弥陀如来の印相のひとつで、その名の通り「迎えに来ましたよ」という意味を示す
*11:【せむいいん】「恐れることなかれ」という意味
*12:【しゅこんごうじん】
*13:【かたしがみ】獅子の顔面を模した肩飾り。獅子がもつ霊気・力強さを表している
*14:【とっこしょ】
*15:【さんこしょう】
*16:【ごこしょう】
*17:【こ】槍上の刃
*20:【かんのんへんげ】個々に応じた姿で現れる