五大明王⑤(ラスト) 目が5つもっ!@@;
金剛夜叉明王
端的に言えば「金剛杵をもつ夜叉」です。(そのまんまですね^^;)
もうすこし正確に言うと
一切の悪衆生と三世*2の欲望・悪を、金剛杵で打ち砕く明王となります。
金剛とは
- 金剛杵(三鈷杵や五鈷杵)という雷を放つ神の武器(法具)
- 金剛石(ダイヤモンド)
の2つの意味を指しており
雷は「どんな障害をも貫く聖なる力」、金剛石は「何ごとにも破壊されない仏の智慧」
をあらわすそうです。
。。。で、夜叉は鬼神を示します。
人を襲い、人を喰らう妖怪とも云われ、本来は魔に近い存在です。
その名の通り、もともとは人を襲って喰らう鬼であり、人々に畏怖されていました。
仏教に帰依した金剛夜叉明王は、悪人だけを喰らうようになったため
「敵や悪を喰らい尽くして善を護る、聖なる力の神」と解釈され
「戦勝祈願の仏」として、武将の信仰は特に厚かったようです。
また、「病魔を倒す」という意味合いから息災健康のご利益があるそうです。
ご利益:息災健康・怨敵退散
像容の特徴
五つの目
一番の特徴は5つもある眼!で、金剛夜叉明王特有の極めて稀な像容です。
真面のみ、三目に加え、人でいうところの両目の下にも2つの眼があり
定説では下の二眼は嘘を見抜く目とされています。
もう少し深掘りしていくと。。。
左右面にもあるように、明王系でよく見かける三眼は肉眼・天眼・慧眼を意味し
- 肉眼*7:遮るものがない可視的物質を見る眼。いわゆる人と同じ役割を持つ眼。
- 天眼*8:遥か遠くや、遮られている可視的物質も見ることができる眼。
- 慧眼*9:物質的、精神的なすべてのものを見通すことのできる眼。
このことからわかるように、慧眼は「真実を見抜く眼」とも言えるので
三眼の時点で、嘘を見抜く能力がすでにある。ということになります。
となってくると、上の定説に疑問が出てきますよね?
さらに調べたところ、五眼*10は三眼に法眼・仏眼を加えたものであり
とされています。
つまり、金剛夜叉明王は
五眼(肉眼・天眼・慧眼・法眼・仏眼)すべてを有する仏となります。
(「嘘を見抜く目」は金剛夜叉明王だけではなく、他の三眼仏にもある能力ということ)
白く長い毛を丸めてまとめたもの(光を放ち世界を照らすとされる)なので眼ではありません。
持物
明王名にある通り、金剛杵は必ず持っています。
通常は、真手に金剛杵と金剛鈴を持ち
第2手と第3手の持物については明確な決まりはないようです。
金剛杵について
金剛杵とは、漁に使う銛*20あるいは猟に使う槍が変化したものと云われ
把*21の両端に鈷*22がついた武器で、悟りの妨げを払う密教法具です。
把の両端から中鈷(中心の切っ先)が伸び
それを囲むように脇鈷(湾曲した切っ先)がついた形状で
鈷の数は、1・3・5が基本。(本数は必ず奇数で、9本のものもあるそうです)
どの本数であっても、金剛杵と総称され、煩悩打破という基本的な役割は同じで
両端の鈷の数は、1本なら反対側も1本、3本なら3本と、同じ数です。
これは、両部不二*23をあらわし、唱える者と仏が一体になるという意味もあるそうです。
正確には、本数によって呼び方が異なり、内容も異なります。
また、十字金剛などの発展形?や
金剛杵の片側が使われている法具(金剛鈴や羂索など)もあり
中でも、金剛鈴は金剛杵の効力UPの役割もあるので
セットで持っている場合は五鈷杵なら五鈷鈴というように
鈷の数を同じもので揃えるそうです。
北方のみ、宗派で明王が異なる
一般的には北方を守護するのは金剛夜叉明王とされています(真言密教)が
極私的感想
五眼という他に類を見ない造形はなかなかのもんです。
五眼も五智をあらわしているものとも想像しましたが
5つの眼は、下の2眼は「嘘を見抜く目」
あるいは、肉眼・天眼・慧眼・法眼・仏眼(おそらくこれが正解かと)なんですね。
もともとは人を喰らう鬼だったのが
大日如来の説得で、慈悲に眼ざめたとされ、以降は悪人だけを喰らう明王になった。
。。。って、いあいあいあ、悪とはいえ人食べとるんか~いっ!w
食人はやめないんだねw慈悲の心はどこ行った?wwwって突っ込んでいいかな?w
悪人は許さず地獄へ送る。というのならわからんでもないけど
食べたらアカンでしょw
「新撰組」の悪即斬のように、悪即喰ってことかいっ?w
もしそうだというのなら、明王じゃなくて地獄の鬼のポジションっしょw
像容としては、烏枢沙摩明王よりも奇抜だし好みではあるけども
やってることはいただけないかな。。。
内容でいえば
烏枢沙摩明王が北方を守護するほうが納得できるかも。と思うのでありました。
おまけ
自分は異形仏好きなので、五大明王はかなりお気に入りです。
ただ、不動以外は独尊で祀られることは殆ど無いので
前知識がないと結構見分けにくいかも? 。。。ということで
画像左から順に
- 東 「人踏んでるやんっ!」降三世
- 南 「どんだけ蛇好きやねんっ」軍荼利
- 中央「パンチパーマのボス」不動
- 西 「牛しんどそう」大威徳
- 北 「5つもあったら目疲れへん?」金剛夜叉
インパクト狙いで、大阪のおばちゃんが言いそうな、かなりふざけた言い回しにしてますw・・・あしからず^^;
*1:【こんごうやしゃ】
*2:【さんぜ】過去・現在・未来
*3:【きょうりょうりんしん】導き難い相手に対し、忿怒し積極的な介入を行う明王の姿に変化
*4:【いとく】威厳のある高い徳をもってしたがわせる
*5:【しんめん】正面の顔
*6:【ふみわりれんげ】両足ではなく片足用の蓮台
*7:【にくがん(にくげん)】
*8:【てんがん(てんげん)】
*9:【けいがん(えげん)】
*10:【ごがん(ごげん)】認識のはたらきを眼になぞらえて、五種に整理したもの。(修行の階位の見方としても用いられる)
*11:【ほうげん】
*12:【ぶつげん】
*13:【びゃくごう】額にあるポッチ
*14:【こんごうしょ(ごこしょう)】煩悩という敵を打ち負かす
*15:【こんごうれい(ごこれい)】霊力を宿す鈴で、その音色で諸尊を驚覚し歓喜させる
(金剛杵と一緒に使うと、相乗効果で更に力を発揮する)
*16:【ほうけん】煩悩を斬り祓い、魔を切り裂く
(菩薩が持つ場合は、栄官を増す。良縁を得る。出世をかなえる。)
(菩薩が持つ場合は、よき友人を得る。)
*19:【ほうりん】煩悩を打ち砕く。悟りを求める心を得る
*20:【もり】
*21:【つか】持ち手
*22:【こ】槍状の切っ先
*23:【りょうぶふに】金剛界と胎蔵界の両部は二つでありながら一体
*24:【とっこしょ】
*25:【さんこしょう】
*26:【さんごう】行動・言葉・精神(身口意【しんくい】という)
*27:【さんみつ】仏の身口意
*28:【ごこしょう】
*30:【ごけい】5つに束ねた髪