鬼であり神でもある
天燈鬼・龍燈鬼を描いたあと
さらに鬼をやりたくなりまして。。。
鬼といえばコレでしょう!ってことで風神雷神を描いて(作って)みました。
風神雷神
「風神雷神」で真っ先に思い浮かぶのは寺社像ではなく、屏風絵のほうだと思います。
てなワケで、屏風絵・風神雷神図のほうで作りました。
フィギュア造形で有名な海洋堂さんが、過去にminiQガチャで出品されてますので
実のところ、かなりそちらを参考にさせてもらってます💦 海洋堂さんってほんとに凄いですね!
風神
風を司り、風袋をかつぎ天空をかける神。
「悪を追い払い豊穣をもたらす神」とも「暴風雨をふりまく破壊神」とも云われる。
2股にわかれた1本角。まさに天空をかけぬけてるかのような姿勢。
CGなので宙に浮いてても構わないのだけど
実像として設置された状態を考え、雲形の土台に乗せてみました^^;
雷神
雷鳴と稲妻を神格化したもの。雷を司り、雷を起こす太鼓を打ち鳴らす。
雷は雨をともなうことが多いので
かつては水神とも云われ「豊穣をもたらす神」とされた。
はたまた「雷を落として災いをもたらす悪霊」とも云われる。
2股の2本角。サーフィンしてるかのような独特のポーズ。
連鼓は、本体よりも後ろ側の配置なので、実際に叩くとなるとかなり難しいハズw
思うに、光輪*6を表してるのではないかな?と。
(風神の風袋を頭上に掲げる配置も、光輪を意識したものかも知れませんね。)
ダンベルのような撥は雷棒というそうです。
振り上げ・降りおろしどちらでも叩ける利にかなった撥なのでしょうね。
屏風絵を3D化するにあたり
冒頭に書いたように、海洋堂さんのフィギュアも参考にさせてもらいましたが
まずはCUBEをくっつけた簡易BODY(ボーン設定はしていない)を作り
大まかに屏風絵ポージングさせたあと
ボーンを仕込んでポーズさせるのがセオリーでしょうが、自分は基本的にボーンは使いません!
屏風絵のどっしりとして力強い体つきは素晴らしいのですが
ブヨブヨ波打つ筋肉?とくに乳に関してはグニョグニョ気持ち悪く見えるので
BODYはマッチョ力士?みたいに改変しました。
お腹を強調させるためか股間ぎりぎりまで垂れ下がった
ずり落ち寸前のような着方になってますっwww
ちなみに。。。雷神の逆手持ちの右腕は、ありえないほどのかなりきつい角度ですw
寺社で見かける風神雷神像との比較
なんというか、失礼承知で書きますが。。。
全く鬼っぽさがなく貧弱でダサく感じてしまう(超私見です^^;)
屏風絵のほうが迫力ある鬼に見えるのは
寺社像のは貧弱体形以外に、ツノが無いからだと思います。
手足が5本指でないことから、鬼というよりも天邪鬼に近い容姿にも見えるので
痩せマッチョな天邪鬼なのかも。(天邪鬼の進化系?最上位版?といったところかも?)
画像のは彩色されてませんが
寺社像のは風神は青(または緑)、雷神は赤色の肌であるのに対し
屏風絵の雷神は白い肌に変更されている。
屏風絵は右が風神、左が雷神となっており左右逆。
。。。ってことも書く予定でしたが、つい最近(約80年ぶり)
三十三間堂の像配置換えが行われ、風神を右、雷神を左に配置変更されたので
屏風絵と同じ配置になりましたね^^;
寺社風にアレンジしてみた
(肌色変更に伴い、髪の毛と襷袴なども配色変更しています)
風神の風袋は、膨らみを際立たせ袋っぽくした。
小さいと座席用のクッション枕
大きすぎると泥棒っぽくなるw
風袋の変更に伴い、風神の腕の向きを、タックルをかますような形に変更。
寺社像の雷神のほうが、太鼓の存在感が強い。
屏風絵にしても寺社像にしても背後の連鼓を打ち鳴らすのは人間技では不可能かと。
まぁ~神だから、それができるということかも?w
その他(考察etc)
風神雷神については寺社仏像よりも
千手観音の眷属としての脇役の1つでしかないから認知度が低いのかも?
天燈鬼・龍燈鬼の考察で書いたのと同じ理屈で、主役と脇役ではインパクトが違う!
なんつの?ショッカーが怪人よりも目立ったらアカンでしょwみたいな?^^;
宗達の風神雷神図は、尾形 光琳*10などの有名絵師にも模写されており
風神雷神図の屏風は代表的なものでも4作品もあるそうです。
そのどれもが、初期のものと殆ど同じ輪郭で、目線や衣の色合いなど細部は違えども
発色に差があるものの肌の色は白と緑で統一されていることから
いかに宗達がリスペクトされていたのかが伺えますね。
屏風絵以外に、襖絵などで起用されることも多く
あとは、一時期風邪薬のCMでも風神の絵が起用されてたりもしたので
ますます屏風絵のほうが有名になったのでしょうね^^;
宗達は、風神雷神を描くにあたり、北野天神縁起絵巻*11の菅原道真の怨霊*12と
風神のモデルはわかりませんが
屏風絵の雷神は、道真の怨霊(雷神*13)がモデルだそうです。(連鼓はまさに同じ形状)
今回の三十三間堂の像配置換えが報道されるまでは
屏風絵の配置が逆だということが謎に思ってましたが
もしかしたら、当時の宗達が三十三間堂の風神雷神像を見たときの配置は
向かって右が風神、左が雷神といった、屏風絵と同じ配置だったのかも知れませんね。
左右逆問題はこれで解消?されたとして。。。
更なる謎。というか疑問。
屏風絵の雷神は何故白い肌なのか?という点。
寺社像の風神は青い肌。。。これはまぁ緑の肌でもさほど遜色ないと思います。
(私的には、青より緑のほうが好きだったりするので贔屓目意見かも^^;)
。。。が、雷神は赤い肌が一般的であり、屏風絵の雷神だけが白い肌。
「モデルとなった道真の怨霊が白だったから?」かと思いきや
道真の怨霊も赤色の肌をしているのです!!
配色を考えた結果という説がありますが
金屏風に対しては、白よりも赤のほうが目立つ気がするので
私的には、それは怪しいなぁ~。。。と思います。
その名の通り、雷を落として大火災を起こすことから
「火を象徴する赤い肌」であるともいわれているそうで
宗達は、火ではなく雷光の象徴として白い肌にしたのかも知れませんね。
光の表現としては黄色や、それこそ金色でよいけども
金屏風なので白い肌にしたのではないかと。。。
もうひとつ「自分てきに大発見した!」と思ってるのは。。。
風神雷神だけでなく、各地で様々な仏像も拝見したと思われ
その中で、文殊と普賢菩薩が脇侍の釈迦三尊を目にしたとしたら。。。向かって
右脇侍文殊の緑の獅子、左脇侍普賢の白い象にインスパイアされたのでは?と。
偶然かも知れませんが、右配置の緑の風神、左配置の白い雷神。
さらには、雷神の長い牙は、象からきてるのかも?(こじつけすぎ?^^;)
まぁ真相はわかりませんが、釈迦三尊の配色説っていい線ついてないかな?w
風神雷神は自然の恵みあるいは猛威を象徴した神なので
人々は、稲作に欠かせない雨を願ったり、台風災害が起きないように祈ったりと
自然への畏敬の念を大切にしたのでしょうね。
余談ですが。。。
風神雷神のほうではなく
黄色い息を吐いて厄害をもたらす邪神・疫病神も風神と呼ばれることがあり
「風邪」という言葉は、「風神が疫病を運ぶ」「風の邪」からきているそうです。
「雷さまがおへそを取りにくる」という言葉は
初夏の雷雨は、急激な温度変化が起きやすいため
蒸し暑いからと、裸で寝てしまうと風邪をひくことになる。ことを示しており
「おへそを隠しなさい」は子供が寝冷えしないようにするための親心の現れです。
また、「雷が鳴ったら蚊帳の中に逃げ込め」というのは
落雷の電流は建物の外壁を流れやすいので
中央に吊られた蚊帳に退避するのは理にかなっているそうです。
「くわばらくわばら」と唱えるのは。。。完全に迷信ですねw
(桑原は、道真公の領地だったため、そこには落ちない。とされている^^;)
これを描いたのは10月末ですが
稲作や台風に密接にかかわりがある神なので初夏の神様でしたね^^;