三十三観音を描いていく ③
今回は三十三観音中、7~9番目までを載せようと思います。
⑦ 蓮臥観音
水上の蓮華葉の上に合掌して坐す観音菩薩。
横向きが正位置で、完全に横を向いている。花ではなく、葉に座っている。
ご利益:水難避け・水難救済
立体像で表現されているものはほとんど無く、絵図で描かれてる程度。
サイドに花を添えている構図になっている。
臥とは、伏せるとか横たわるという意味だそうですが
横だけが取り上げられたのか?なぜ真横を向いて坐してるのかは謎です。汗
⑧ 瀧見観音
岩の上に座り滝を眺める観音菩薩。
立てた右膝に右腕を置き(または肘掛けのように突き出た岩に右腕を乗せ、右足は寝かせている)
左足は踏割蓮華に乗せ、少し斜め上を見上げるような姿で表現される。
ご利益:火難除け・降雨・心の清浄化
印を結んでるワケでもなく持物を持ってるワケでもないのですが
私的には、リラックスしたようなポーズが美しい観音菩薩だなぁと思います。
立体仏は、名称からもわかるように、滝がある場所に祀られるのが基本。
そのせいもあってか、立体像としてはあまり見かけないかと思います。
立体像よりも、仏画とくに水墨画で描かれることが比較的多い観音様です。
⑨ 施薬観音
一般的(絵図などの像)?には、右手は頬にあて左手に薬草を持つ二臂*10坐像なのですが
一面六臂の異形形態もあるようなので、今回はそちらで描いています。
施薬観音(異形バージョン)は、薬慈*11観音とも呼ばれるそうです。
六臂のうち、真手*12は合掌し、第二手は薬研で薬草を磨り潰し
第三手の右手に薬匙(または柄杓*13)、左手に薬壺を持つ。
腕が6本というのはもちろんですが
薬研を両足で挟むポーズも、観音様にしてはかなり異質だと思います。
(実際に薬研を使用するときは、ぐらつかないように両足で挟んで固定する)
ご利益:病気平癒
一般的に。。。とは唄いましたが、そもそもがマイナーな観音様で
二臂像も、実像はほとんど造られていないようです。
また、絵図の三十三観音は
どの像もポーズは違えど、全て一面二臂で、ほぼほぼ同じ容姿なので
異形系をチョイスしました。
*1:【れんが】
*2:【たきみ】
*3:【ふみわりれんげ】片足用の蓮台
*4:【せやく】
*5:【やげん】薬草を磨り潰して粉末にする伝統道具(唐辛子の調整などにも利用された)
*6:【やげんぐるま】軸の付いた車輪状の磨り具
(軸の把手を両手で握って体重をかけながら前後に往復させて磨り潰す)
*7:【やげんうす】舟形の溝を彫った碾
(薬研碾単体を薬研という場合が多い)
*8:【やくし(やくさじ)】生薬や散剤(さんざい:粉薬)などを量るスプーン
*9:【やっこ】ありとあらゆる病を治す薬が入っている壺
*10:【にひ】いわゆる人と同じ姿
*11:【やくじ】
*12:【しんしゅ】第一手
*13:【ひしゃく】