方位の守護神
天部の仏と聞いて、真っ先に浮かぶのは四天王じゃないでしょうか?
以前、2Dで描いたこともあるのですが
あらためてBlenderで描いて(作って)みることにしました^^
四天王
帝釈天*2に仕え、八部鬼衆*3を支配する東南西北の四方を守る天部の神。
一面ニ臂いわゆる人と同じスタイルなので異形仏ではありませんが
甲冑*4をまとった武将の姿で沓*5を履いており、邪鬼(天邪鬼)*6を踏みつけてます。
四天王のポーズや持物に明確な定義は無く
四神とも槍を持っていたり、2鬼の邪鬼を片足ずつで踏んでいる像容などもありますが
今回は、国内で最も有名であろう東大寺戒壇堂*8の四天王像を参考に描いてみました。
甲冑にも細かな模様や装飾も施されてたと思いますが
比較的地味目のカラーリングで再現しています^^;
持国天
提頭頼吒*10と称される場合もあります。
梵名:ドゥリタラーシュトラ(国を支える者)
ご利益:国家安泰・鎮護国家
東の方位色は青なので、肌は青基調、甲冑は黒基調に少し青味を加えて彩色しました。
持国天のみ兜をかぶっています。(兜をかぶっていない場合もあります)
持物は 刀とされていますが像容では両刃であると推測できるので剣ではないか?と。
首が折れてるんじゃ?@@;と思われるような痛々しい姿勢の邪鬼。
増長天
毘楼勒叉*13と称される場合もあります。
梵名:ヴィルーダカ(成長あるいは増大した者)
ご利益:五穀豊穣
南の方位色は赤なので、肌は赤基調、甲冑は黒基調に少し赤味を加えて彩色しました。
増長天のみ口をあけています。(口を閉じてる場合もあります)
持物は 槍(三叉戟)
こちらの邪鬼は腹を踏みつけられて苦しそう。。。
廣目天
毘楼博叉*16と称される場合もあります。
梵名:ヴィルーパークシャ(尋常でない眼、特殊な力を持った眼※*17)
ご利益:仏教守護・国家守護
西の方位色は白なので、肌は白基調、甲冑は いぶし銀で彩色しました。
持物は 筆と経巻で、唯一武器を持っていません。(槍などを持っている場合もあります)
この邪鬼はふんどし姿ではないため、女性ではないかと思われます。
多聞天
異名は毘沙門天*20(多聞天よりもこちらの名称のほうが認知度が高いでしょうね^^;)
梵名:ヴァイシュラヴァナ(神の息子)
(毘沙門天は梵名の中国音写。「よく聞く所の者」とも解釈できたため多聞天という名称がついた)
ご利益:戦勝祈願・商売繁盛・心願成就・厄難消除
北の方位色は黒ですが緑で表されることもあるので
肌は緑基調、甲冑は黒基調に少し緑味を加えて彩色しました。
持物は 宝塔と宝棒(棒ではなく、槍や剣などを持っている場合もありますが宝塔は必ず持っています)
多聞天の邪鬼は堂に入っているというか、下敷きになるのが板についてますな^^;
四天王の配置について
横一列に並ぶ場合は、冒頭の画像のように
東(持国天)南(増長天)西(廣目天)北(多聞天)で並んでいるので
見た目がほぼ同じだったり、代表的な持物を持っていない
あるいは欠損などで持物がない像であっても並び順で推測できます。
四方配置の場合(注。実際の距離はこんなに接近していませんw)
間違った配置のような気もします。汗
四方配置の場合は、「じぞうこうた」の右回りで参拝するのが礼儀なのだそうです。
その他もろもろ^^;
冒頭で述べたように
四天王像の持物にこれといった決まりは無いそうなのですが
一般的には太字の持物、欠損ではない限りどれかの持物を持っています。
といった持物になっており、日本とは四天王の並び順も違うようです。
多聞天が独尊で祀られる際は、毘沙門天と呼ばれ、邪鬼に乗っていない像もあります。
毘沙門天は独尊として祀られることが多く、七福神の一柱としても有名です。
また、地天*25に支えられた兜跋毘沙門天*26と呼ばれる造形もあります。
四天王のうち、二天*27(持国天と増長天 あるいは 持国天と多聞天 )で門を守るケースもあります。
一般的に
- 境内前の門は仁王が祀られている仁王門(楼門)
- 中門*28に祀られているのが二天で、二天門ともいいます。
邪鬼について
悪をばらまく小鬼のようなもので
ラスボス的強さはなく雑魚キャラ扱い
西洋でいうところのゴブリンみたいな存在かもですね。
(5本指ではなく、手の指は3~4本・足の指は2~3本という場合が多いそうです)
厳密にいえば、邪鬼も神になります。
(祟り神、邪神という言葉があるように、神が善とは限らないということ)
。。。ただ、物事の裏読みをしすぎて天の邪魔をするようになったので
「天の邪魔をする鬼」として悪い神となったそうです。
普通に見れば、四天王が邪鬼を踏みつけて懲らしめている。と解釈できますが
一説には、改心した邪鬼が「御御足*29を汚させるワケにはいきません」と
自ら率先して四天王に踏みつけられているという説もありますw
そのほか、邪鬼は屋根の四隅で梁を支えていたり、香炉を支えていたりもします。
立体として描いてみてわかったこと
違和感がでない程度に作り込みしたつもりですが
四天王および邪鬼の肩・肘・腰関節の位置が微妙にズレており
手足の長さ比率も左右で少し違いますw爆
(単純にミラーコピーでBODYをつくると戒壇堂のようなポーズは取れないように思いました。)
言い方は悪いですが、実物の四天王は結構痩せぎすに見えてるので
あえてBODYにボリュームを持たせてたりもします^^;
作ってみてわかったのは、四天王のポーズは楽な姿勢ではなく
バランスボールの上に立ってる?ってくらいアクロバティックなものだったりしますw
プラモデルを作ったことがある方ならわかると思いますが
四天王が纏う甲冑は金属製ではなく革製なのでしょうね。(金属鎧はあのような曲がり方はしない)
像自体は塑像*30だそうです。(ねんのため^^;)
「目は命」 とはよく言ったもので
黒目を入れたとたんガラっと表情が変わります。
メインはあくまで四天王なので、邪鬼と獅噛にはあえて黒目を入れてません^^;
これは、戒壇堂の四天王のみかもですが
増長天の阿に対し、邪鬼は吽で対比させてることに気づきましたっ!
各々の甲冑も若干細工が違うみたいだし、形状も微妙に違うこともわかりました。
獅噛も各々で形状が違うこともわかりました。
余談ですが。。。
特定の分野における実力者の4人を四天王と呼んだりもします。
往年の格ゲー好きなら、ストⅡの四天王を思い出すかも?
とあえて言いたい(笑)
悪者だからとかそういうことではなくて
「実力が拮抗する4人」ではなく「ベガに従う側近3名」という構図になるので
四天王とは言えないはずw (あえていうなら「三銃士 + ラスボス」かとw)
3人ってとこで破堤しちまうけども
ベガ以外の3人を四天王とするなら、ベガは帝釈天というポジションになるかとw爆
ほんとどうでもいいこと(そうでもない?w)を言いましたが
あまのじゃくな自分としては、どこかでツッコミ入れたろうと思ってたものでwww
*1:【してんのう】
*2:【たいしゃくてん】
*3:【はちぶきしゅう】四天王配下の龍や鬼
(阿修羅が所属しているのは八部衆で名前が似ていますが、それとは別物です。)
*4:【かっちゅう】鎧
*5:【くつ】
*6:【じゃき(あまのじゃく)】
*7:【ちゅうそん】メインの像
*8:【かいだんどう】
*9:【じこくてん】
*10:【たいとら(だいずらた)】
*11:【しがみ】獅子の顔面を模した飾り。
獅子がもつ霊気・力強さを表している
*12:【ぞうちょうてん】
*13:【びるろくしゃ】
*14:【さんさげき】三叉の槍
*15:【こうもくてん】
*16:【びるばくしゃ】
*17:サンスクリット語で直訳すれば「種々の眼をした者」「不格好な眼をした者」となるそうですが
拡大解釈され千里眼(せんりがん)を有する者で定着しているようです
*18:【きょうかん】経文を記した巻物
*19:【たもんてん】
*20:【びしゃもんてん】
*21:【ほうとう】舎利弗(しゃりふつ):釈迦様の遺骨を納めたもの
*22:【ほうぼう】
*23:【げき】突きに特化した槍に払い切り用の刃がついたもの
*24:【こんごうしょ】
*25:【じてん(ちてん)】地母女神
*26:【とばつびしゃもんてん】
*27:【にてん】
*28:【ちゅうもん】楼門と拝殿の間の門
*29:【おみあし】
*30:【そぞう】漆喰粘土で作られた像
*31:【うん】口を閉じている
*32:【あ】口を開けている